最近,弁護士や司法書士の過払金のCMをよく見かけます。
ただ過払金の返還請求自体は一時のピークはもちろん過ぎています。
これらの宣伝のポイントは,時効が迫っているのでお早めにと呼びかける内容であることです。
「50代,60代,70代の方」と呼びかけるものもあります。
若い方の場合は,利息制限法以上の金利で借りている可能性は低いし,長期間の取引ではないので過払金も少ないということなのでしょう。
今後,この過払金返還請求はどのように推移していくのでしょうか?
大局的には終息に向かうのは間違いなのですが,どのようなペースで終息するのかが問題です。
これを考える資料としては,貸金業者の公開している決算関係の資料が参考になります。
「依然として高位で推移する足元の利息返還請求件数」
ということです。
オリコの2014年4月~9月までの決算説明会資料では
「一部司法書士・弁護士事務所の過熱化した宣伝活動もあり,1Q・2Q共に指数は42と前年同期比で上昇」(指数=過払金計算を新規で要請された件数)とあり,
「2015年3月期決算と新中期経営計画」では
「過払金返還額は161億円で,前年比マイナス6億円」だったが「3Qは41,4Qは39,3Q対比やや減少したものの前年同期比で上昇」ということです。
結果としてオリコの業績は,
「利息返還損失引当金を前年比プラス76億円の合計163億円を繰り入れたことにより,当期純利益が184億円と前年比42億円の減益」とのこと(しかし繰り入れ前で見ると33億円の増益)。
アイフルの業績も,
過払金返還額が,13年3月期 345億円 14年3月期 334億円 15年3月期 302億円で,
「営業費用は、依然として高位で推移する足元の利息返還請求件数を踏まえ、利息返還損失引当金の大幅な積み増しを行う予定です。具体的には、利息返還損失引当金の繰入を637 億円行い」
結果として,純損失は364億円となっています。
オリコは,ここのところの発表で,
「一部司法書士・弁護士事務所の過熱化した宣伝活動」!?
によって,過払金返還請求が減らないかのように言っているのですが,本当にそうですか?
宣伝活動の内容やあり方の是非はさておき,過払金というものがそもそも存在していなかったら,請求できませんよ。
まだまだあるから,請求が減らないのです。
しかし,過払になっているかどうかは,正確には計算してみないとわかりません。計算するには履歴を取り寄せないといけないので,そこまでしない限りは本人にもわからないわけです。
業者の方から,教えてくれることは基本的にありません。
業者側からすれば,このまま気づかないまま時効になってほしいということでしょう。
過払金返還請求が,経営の重しになっている様子は,上記のデータからもよくわかりますから。
業者側の予想では,もっと早いペースで減っていくと考えていたのでしょう。
まだまだある過払金ですが,一体どれくらい返還されずに,業者側に眠っているのか?
過払金総額は推定20兆円!これまで回収されたのはわずか5兆円!
でしかないのです。
いまだに約15兆円が眠っている!
のですから。ただし,
これからはますます時効が争点になるでしょう。
広告でも言うように,最後に取引してから10年経っていないかどうか(時効が完成していないか),これが重要になります。
いつから10年なのかについて,最高裁の判断は基本的には示されているのですが,個々のケースでは争いになる場合が,今後益々多くなるでしょう。
業者側としては,一件でも多く,時効になっていることにして,返還を逃れたいので,必死で時効を主張してくることも多くなるはずです。
そうです,過払金問題はなにも終わっていないのです。
これからむしろ時効をめぐって,熾烈な闘いが繰り広げられようとしています。
もちろん,1日でも早く請求するに越したことはありませんので,少しでも心当たりのある方は,お早めに専門家への相談をおすすめします。
当事務所は広告していませんし,する気もありませんが,過払金返還ももちろん扱っています。
当事務所は,業者側の時効の主張に安易に引き下がるのではなく,徹底的に争います。