ひところに比べ,「飲みにケーション」というものが減ったとは言われる。
とは言え,いまでも,何かと飲み会の機会はあり,そうすると少数だが「全く飲めない」という人がいるが,この人たちは「飲めない」人というより,飲んではいけない人だということは意外と知られていない。
いまでは,ビール会社等のサイトでも解説されているくらいのことだが,飲めないというのは,遺伝子型の問題である。
お酒を飲んだ時に発生する有害物質アセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」(アルデヒド脱水素酵素2)の活性のない人が,飲めない人なのだから。黒人、白人には「ALDH2」低活性型はなく,日本人などのモンゴロイド系にのみ,このタイプの人がいる。
この活性を決めているのが,この酵素をつくる遺伝子で,これにN型とD型との二つの型があり,両親から一つずつ受け継ぐので3つのパターンがあることになる。
欧米人などは,ほぼすべてALDH2活性型がNN型で,お酒が飲める,ということは,そもそも「お酒に強い,弱い」という概念自体がないのだろうか。
日本人の場合は,ALDH2活性型は,56%と言われる。
「いける口」というのは,このタイプの人たちのことを指しているにすぎないのである。
不活性型,つまりDD型は,日本人の4%である。
あと,低活性型というのがあり,ND型で,日本人の残る40%である。
ND型はNN型の16%の活性しかなく,多くのお酒を飲めない,私もその型のはずで,道理で飲めないわけである。
このような事実がはっきりしているにもかかわらず,「飲める」ことを前提に,飲み会が行われているように思えるが,おかしな話である。
D型はN型遺伝子の突然変異でアセトアルデヒドを分解する能力が低下したものであり、そもそも当初人類にはN型しかなかったと考えられており,日本列島人の起源などを探る際の手がかりとしても注目される。