子ども服のマザウェイズが破産

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愛用者も多く,小さな子供を持つ母親にはよく知られているベビー・子供服専門店「motherways」を全国に98店舗展開していたマザウェイズ・ジャパン(株)(他に関連会社2社)が、6月30日に自己破産を申請し,7月16日に破産手続開始決定を受けた。
多重債務に悩む個人の自己破産申立は,司法書士もよく取り扱うが,会社(法人)の自己破産申立て自体に関与する機会は少ない。
ただ,従業員が会社に貸していたお金を返せという訴訟に,裁判書類作成で関与した際,相手の会社に,訴訟係属中に,自己破産申立てをされたことがあった。
訴訟には勝ったものの,肝心のお金を回収できなかったという苦い経験がある。

もう一つ,会社の破産の重要な問題として,そこで働いていた従業員(労働者)の問題がある。
突然,職を失うわけであるから,十分な対処が必要である。しかし,弱い立場である労働者は,得てして泣き寝入りする場合も多い。
本来であれば,労働組合の出番であるはずだが,労働組合の存在感が希薄になって久しい。
もちろん,労働組合法という法律もあり,団結権も保障されているわけだが,それを行使しようにもどうしていいのか,誰に聞けばいいのかもわからない状態だ。

そんななかでも,関西生コン労組は現在でも存在感がある。警察まで出てくるような熾烈な組合潰しにあっても,潰されずに今日まで組織を維持しているのは,労働者の権利を守るという点では,素晴らしいことである。

司法書士は,個別の形で,労働法に則り,労働者の権利を守るサポートをすることはできる。

マザーウェイズの倒産に関しては,閉店セールへの出勤を求められる一方で,給与は支払えないと言われたという話がネット上に出ている。
事実ならとんでもないことだが,こうした場合に,未払いの賃金や解雇予告手当を求めるとして会社と闘うサポートは可能である。
会社の破産の場合,会社に資産が全くないわけではなく,一方で,賃金は労働債権であるので,一定の優先権がある。決して泣き寝入りする必要はないのだ。
ただし,今回の場合は,すでに破産手続きに入ってしまったので,破産管財人の主導のもと,進められていくので,大きな制約があるのは否めない。
しかし,破産手続きが開始されながらも,10年にもわたり,管財人相手に団体交渉を行い,勝利的な労働委員会命令をかちとった,かつての全国金属機械港合同田中機械のような例もある(もちろんこれはもともと組合が存在し,その組合に対する不当労働行為として破産が行われたものでああったが)。

会社が,破産手続申立をする以前から,手を打てればいいのだが,今回もそうであるように,破産申立までは極秘に進められるのが常であり,兆候を察知するのはなかなか大変である。
しかし,諦める必要はない,その気になれば,労働組合をつくることはでき,ノウハウを持つ専門家や団体も,まだまだ存在する。
個別の労使関係としても,労働問題に強い弁護士,司法書士等に相談するなど,闘う手段はいくらもある。