新事務所開設1周年記念インタビュー?

CIMG1557早いもので現在の地に事務所をオープンして、1年と1ヶ月経ちました。
オープンから今日までの歩みをインタビュー形式でお届けします。

まず、JR堺市駅前に事務所を開いたのはなんでですか?

自宅に近いからです、通勤時間がほぼないというのは大きなメリットですね。
→それは単に自分にとってのメリットでは。

業務に専念できる時間が増えてサービスも向上するともいえます,多分。

立地に関してマーケティングとかはしなかったのですか?

そもそも最初は即独立することも決定ではなく、就職活動も若干しました。
結局、思い切って独立しましたが、もちろん最初から自宅近くと決めていたわけではありません。
日本司法書士会連合会が行っている過疎地開業支援(※)を利用することも考えましたよ。
(※司法書士の少ない過疎地で開業する場合,開業資金の貸与を受けられる制度。定着できれば返さなくてもよくなる)
まあ、言ってみれば全国を視野にいれて、考えるのは考えたけど、結局引っ越しする踏ん切りもつかず自宅近くになりました。

安直ですね。

そうですね、一応の理由は、堺市の中心部は堺東というところで、ここには市役所、法務局その他が集中していて、司法書士事務所もたくさんありますが、JR堺市駅前はそこから歩いて行くには少し遠いくらいの微妙な距離で、近隣に司法書士事務所が多くないということでした。

1階の路面店にしたのは意味がありますか?

これは就職の斡旋を依頼していた時のコンサルティング会社(株式会社コンサルティングファーム)の方に教わったんです。
司法書士の需要は頭打ちのようにも言われますが、そもそも一般の方にまだまだ認知されていない。
確かに、商店街や駅前等住民が普段歩くようなところに意外と事務所は少ないのです。
駅前にあっても、ビルの中とか、気軽に通りがかりにはいれるような感じではない。
というか、そもそもこれまでの事務所は通りすがりに訪れるようなことは想定してないとも言えるでしょう。
地域の方々に気軽に訪れてもらえるという点では、良かったんではないかと思います。
また、配属研修でお世話になった先生からも地域密着型がよいのでは、というアドバイスを頂いたことも決め手となりました。

仕事の依頼の状況はどんな感じですか?

開設当初は、全く何の目処もなく、営業をいろいろと頑張らないと、と思っていて、実際、年賀タウンメールとかもしました。
今年の春頃まではまだまだこれからどうなるのかという感じでしたが、1年経ってみると、依頼自体はコンスタントの頂いています。一筋縄ではいかない依頼も多く,多くの労力を費やすこともありますが,やりがいはあります。
地域密着型と言いましたが、実際の内訳としては、旧来の人脈の関係や紹介の案件が多いですね。
地域の皆さんからの依頼の割合は現在は2~3割程度ですが、相談だけに訪れる人もいますので、地域に根づいた事務所という感じにはなっています。
どのような人びとのどのようなニーズにどのように応えていくのか、まだまだ試行錯誤の連続です。

依頼の内容は?

司法書士といえば登記ですが、登記関係は積極的に営業していないので割合は低いですね。
裁判関係が過半を占める現状です。ほかに成年後見関係が、概ね1~2割程度でしょうか。
裁判の内容は様々で、今でも過払金返還請求もありますし、交通事故関係、貸金返還請求、労働関係などです。
家事関係ももちろんあり、遺産分割、養育費など取り組んでおります。

重点を置いている分野は?

実は登記と並ぶ司法書士の伝統的な業務分野である裁判書類作成に力を入れていきたいですね。
もちろん認定司法書士には簡裁訴訟代理等関係業務ができますが、もう少し裾野を広く、本人訴訟支援という分野にも注力したいわけです。
いずれにせよ、過払金返還請求のピークが過ぎて、司法書士の裁判への関わりが減少していると聞きます。
残念なことです。ぶっちゃけた話、裁判は儲からないと思われているようです。確かにわれわれはボランティアではなく、事務所の経営が成り立たないようでは、結局のところ市民の権利を守るサービスも提供できないわけですから、相応の利益の見込めないことはできないというのも当然の理です。
この点、様々な工夫によってこの「常識」を覆す2年目にできればと思います。

今一つは,登記は登記でも,不動産登記ではなく,商業登記という分野がありますが,そこにも力を入れています。
こちらも昨今,司法書士の商業登記離れということも聞かれます。
しかしながら,商業登記も司法書士の独占業務の柱であり,会社であれば,必ず必要になるため,経営者にとって司法書士は必要な存在です。
商業登記にとどまらない会社に関する多様なニーズに応えていくことで司法書士の可能性はますます高まると考えます。
企業支援の分野にも積極的に関わっていきます。

ネットの活用とIT化についてどう考えますか?

お客様にとっては報酬は安いほうがいいでしょうが、安さを競うようになってしまうと今度は質の低下を招きかねません。
どのような商品でもそうですが、適正な価格というのは存在します。
ただ、工夫によって、価格を下げる努力はできると考えています。
その大きな武器の一つがIT化と考えています。業務の質を落とさず、効率化することで、お客様に還元します。
またネットの新たな活用にも挑戦します。
これまで士業のネット活用といえば、主に自分の事務所の広報でした。
当事務所ではそうではなく、ネット上のサービスを提供することにも2年目は挑戦します。

最後に

過払金返還請求にしても最初は「儲からない」と誰からも見向きもされない分野でした。当初はそもそも過払金ではなく、「合法」に得た金利だったわけですから。それを一部の人々の粘り強い闘いで覆していった歴史があります。
いまでも社会には未解決の問題が山積しており、また日々新たな問題が生起しています。
これらに正面から向き合い、食らいつくことで、これからもまた新たな時代が切り開かれていくと信じて、日々の業務に邁進いたします。