中小事業者の賢いWEBサイト活用法(2)

前回記事で、中小事業者のWEBサイトの典型的パターンとして、メインのサイトをホームページビルダーで自分で作成し、ブログを無料ブログで別個に行っているケースを紹介したが、もちろん他にもバリエーションがあるので、ここでいくつかのパターンに分類しておこう。

中小事業者のWEBサイトの典型的パターン、いくつか

(1)メインサイトのパターン

ア,ある程度、古い時代に作ったもの→ホームページビルダーで自分で作っている。
イ,ある程度、古い時代に業者に頼んでつくったもの→トップページで判で押したようにフラッシュ画像を使っている。
ウ,最近、業者に頼んでリニューアルしたと思われるもの→一応まとも。

(2)ブログのパターン

ア,アメブロ、FC2、livedoor等の無料ブログ
イ,がんばって自分でレンタルサーバーを借りてWordPressなどで運用しているもの
ウ,メインのサイトの中に一体化してブログも運営しているもの

(3)SNSのパターン

ア,facebookページを作っている
イ,twitterアカウントを持っている
ウ,google+ページを作っている

といったかんじに大雑把だが分類できる。最近では、そもそもメインサイトはつくらずに(つくることができず)facebookページしかない場合もあるであろう。
ただし、業種によっては、WEBサイトは必ずしも有効なツールではなく、そもそも必要ない場合もある。
以下では、中小事業者の業種について、飲食店や旅館、ホテル業のようなWEBサイトの有効活用が見込まれるリアル店舗のある業種で、なおかつ典型的な物販のECサイト「ではない」ものに絞って述べる。リアルで一応事業は成り立っていて更にネットを活用したいケースを想定している。一般的な物販のECサイトの場合は、自分で作っているようでは到底まともな効果は望めないからである。また、非専門家の経営者が、ECサイトを自分でつくろうなどとするのは、経営資源の配分としても誤っており、非効率であり、経営者は経営そのものに専念すべきである。

他業種でも、もちろんそれは当てはまるが、本稿は予算的に制約がある中小事業者を対象としているので、経営者自身のなるべく負担にならない形で、自力でサイトを運用する道がないのか、を考えてみる。

よくないパターン

前述したように(3)SNSしかやってないのは、ネットの活用としては、論外。メインサイトへの動線としてSNSが生きてくるわけなので。
ブログしかない、ブログとSNSのみ、というのは何もやらないよりはマシという感じでしょうか。
せっかく頑張っているのに残念なパターンは、何らかのメインサイトがありながら、ブログを(2)ア=無料ブログでしているもの。結構見かける。手軽なのはわかるが、注ぐ労力に比して効果は薄い。詳しい理由は省略するが、要は独自ドメインで運用することに意味があるということ。無料ブログではそれが基本的にできない。だから、メインサイトがあっても独自ドメインでなければ、やはり効果は落ちる。ここではメインサイトが独自ドメインで運用されている前提で話を進める。

また、この場合で、ブログを(2)イ、つまりレンタルサーバーでしている場合も、アほどではないがドメインが別であれば、残念なことになる。2つの別のサイトを運営していることになるので。中小事業者が自分で運営する場合、そんな余力はないはずである。

よいパターン

(1)ウ(2)ウ(3)ア、イ、ウが一番良いのは当然だ。そうなっていない場合、どうやってそこに近づけるかを考えることになる。現状のパターンによっては、意外と手間を掛けずに、よりよい構成に移行できるケースは結構ある。

メインサイトとブログの一体化の方法

3通り考えられる。
1,メインサイトにブログを引っ越しさせる。
2,ブログの方にメインサイトを引っ越しさせる。
3,別のサーバーに両者を引っ越す。

無料ブログの場合は、2は考えられず、1か3を考える。
逆にメインサイトがブログサイトを動かすことのできない環境(ブログの場合、通常、PHPとMySQLなどのデータベースが必要)である場合は、2か3しかない。
ただし、1ができる裏技はある(後述)。

一番お手軽なケース

メインサイトのサーバーがWordPressなどを動かせる環境であれば、そこにブログをインストールすればよいだけである。ただ全て自力で運営する場合、これまで無料ブログしか触っていない場合は、WordPressは柔軟性がありすぎて、戸惑うことも多いと思われる。そこは「初心者向き」をうたうテーマを導入することで幾分かは軽減されるだろうが、ひとつのネックにはなる。なかには挫折する場合もあるだろう。そういう場合に、選択肢として考えらるのは「有料ブログ」だ。

「有料ブログ」という選択

livedoorブログの新しいサービスがリリースされていて、中小事業者のサイトに使えそうなものが出てきている。
方法としては3の方法、第三の場所に引っ越すやり方になる。これは独自ドメインが使える利点がある。WordPressに挫折した場合でも、これならできるかもしれない。また中小事業者はアフィリエイトは原則不要であり、本業で稼ぐべきであるから、広告掲載不可でも問題ない。逆に無料ブログのように自分の得にならない広告を無理やり載せられることもない。
これが月額1000円しないのだから、お手軽である。

すでにWordPressをやっている場合は

一方でWordPressでブログをやっているが、メインサイトは別に残したままという場合。2のパターンになる。メインサイトが通常の静的サイトであれば作業自体は1より簡単で、メインサイトのファイル群をごっそりブログの方のサーバーにコピーするだけである。
ただ注意点は、ドメインの移管、もしくはDNS設定の変更が必要になることだ。それに伴うファイルの修正作業が若干必要になる。この場合、サーバーはひとつになるので、コスト削減につながる。

WordPressが使えない場合の裏ワザ

WordPressのプラグインでstaticpressというのがある。これを使えば、WordPressサイトを静的なサイトに変換できる。それをサーバーにアップすれば、メインサイトのサーバーがWordPressの使えない環境であっても、メインサイトの中にWordPressサイトを一体化(したかのように見せることが)できる。
ただこれは、頻繁に更新するブログの場合、作業が面倒になるデメリットはある。
http://ja.staticpress.net/

以上のどの方法も、比較的簡便で、費用がかからないか、むしろコスト削減になるものである。それで効果は増大するのであるから、やらない手はないであろう。
しかし、重要なことは、ブログの併設がなぜ必要かという理由でもあるが、コンテンツの充実が核心という点だ。内容のよくないブログ記事を増やしていくことは、むしろ逆効果にさえなりかねないことを付言しておく。