日本国憲法で一番大切なことを答えられなかった日本の首相

日本国憲法

3月29日の予算委員会で、小西洋之参院議員に、日本国憲法のなかで一番大切な条文は何かと聞かれて、安倍首相が答えず、不快感を示したという話がある。
しかし、日本の国民のどれだけがこの質問に答えられるだろうか?日本人全体の憲法理解の現状ともいえよう。
伊藤塾塾長で弁護士の伊藤真氏の有名なエピソードがある。学生時代、知人のアメリカ人に「憲法で一番大切なことを一言で教えてくれ」と聞かれて答えられず「よくそれで日本人をやっているな」と言われ、頭に来て家に帰って本を見るとどの本にも「個人の尊重」と書いてあったという(「夢をかなえる勉強法」p179)。司法試験を目指している東大の法学部生ですらこういう現状だったのだ。

国民に義務を課す様な条文を設けている自民党の憲法草案に対しても、日本維新の会の橋下氏に「憲法が国民に義務を課すものではないのは当たり前。国会議員はこんなことすら知らずに憲法議論をしている」「みんなで一回、憲法の教科書を読んだらいいんじゃないですか?」(4月11日記者会見発言)と言われる始末である。

また、自民党の中谷元氏らは「裁判官中心でない、政治的判断も行える特別な憲法裁判所をつくって憲法判断を行う」と主張しているという。恐るべき主張だ。司法権の否定に等しいものといえる。「選挙区は単に人口比で決められるほど単純ではない」ともいう。「高度な政治判断」だと。人口比以外の平等などあるはずもない。こうした発言を堂々として大きなひんしゅくを買うこともないのは、国会議員らがまるで憲法を理解していない証拠である。

一票の格差是正というのは、一政党の主張や政治運動ではない。政治的な立場にかかわらない、日本が民主主義の国であるとしたら当然そうあるべきことを求めているに過ぎないものなのだ。それがどうも自由「民主」党のひとにはわかりづらいようだ。