憲法と行政書士
行政書士試験の科目には、日本国憲法があり、しかもかなり全体の中の比重は高い。
意外にも資格試験で憲法が多く出題されるものは少ない。
司法書士試験も憲法が課されるようになったのは平成15年からであり、
しかも、択一70問中3問だけである。
憲法が多く問われる国家試験は司法試験である。
行政書士試験は司法試験に比べれば、はるかに易しいが、憲法が多く問われるという特徴がある。
これは取りも直さず、行政書士の業務の基本に、憲法のしっかりした理解が必要であることを示している。
とは言っても、重要なのは、どの憲法の教科書にも最初に出てくるような部分である。つまり、今日、憲法と言えば立憲的意味の憲法(近代的意味の憲法)をさすということである。「権利の保証が確保されず、権力の分立が定められていない社会は、すべて憲法をもつものではない」(フランス人権宣言16条)ということである。
そのため、近代憲法の最大の特質は、自由の基礎法という点にある。それに対して、法律は、その自由を規制、制限するものである。
そして、行政は、法律の根拠に基づいて行われるシステムになっており(法律による行政)、行政書士の主な仕事の一つは、その行政に対して、法律に則って、許認可等の手続きを行うことです。その手続きの多くは書面(または、それに替わる電子的媒体)の作成が必要になることから、行政書士は書面の作成を依頼者に代わって、行いますが、今日では、手続き以前の実体面でのコンサルティングを含む業務を行なっています。
つまり、杓子定規に法律を理解するのではなく、あくまで憲法の観点から法律による規制の趣旨を理解し、国民の権利保護に資するために活動するのです。
(参考文献)
試験対策講座は、司法試験を主な対象にしたかなり大部の本だが、もっとコンパクトに憲法を知りたい場合、「加藤晋介の憲法入門」がお勧めである。
この本の内容が頭に入っていれば、司法書士の憲法の問題はほぼ解けると思われる。
そして、何よりものこの本の特徴は、単なる「入門」を越えた異色の書であるということだ。通常の入門書には決して書いていないことがかなりのスペースで書いてある。それは日本国憲法制定の歴史的背景事情である。その中で、日本人には社会契約説的な意味での憲法に馴染みがない理由を説明している。いまだに、大日本帝国憲法のほうがいいという人が出てくるわけである。
一体何のために何を守るために憲法をつくったのか
を根本から考えることが必要と著者は言い、
現在私たちはどこに立っているのか。どうやってここに至ったのか
現在私たちは何を考え、どう方向付けていくべきなのか
について指針を与えてくれるものとして、憲法の教えるところを考えなくてはならないと言います。
他にも類書にない鋭角的な記述が随所にあり、読んでいて面白い本です。
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