ネット依存と情報(IT)リテラシー

ネット依存と情報リテラシー先ごろ、厚生労働省の研究班が中高生の「インターネット依存」は、50万人を超えるという推計を発表した。もともと児童生徒と携帯電話をめぐる問題はあったが、昨今のスマートフォンの普及が、このネット依存の増加の背景にあるのは、間違いない。

ネット依存は「防止策」を語るだけでよいのか

この問題は、ネット依存になるのを防ぐにはどうしたらいいか、という視角から語られることが多いが、そもそもの根本問題は何なのか?
アプリやコンテンツの提供者に何の責任もないのか、いやそもそも携帯電話会社のビジネスモデルに何の問題もないのか?
世に悪徳商法なる言葉があるが、これは違法であれば許されないのは当然だが、「違法ではないが悪徳な商法」という意味合いが含まれている。つまり、企業側には営業の自由があり、自由にビジネスすることを故なく妨げられてはいけないが、だからといって違法でさえなければどんなことでも許されるのかということだ。特にビジネスは、人がまだやっていないことをやるという側面があり、必然的に法律の規制がもともとない、追いついていない領域で行われることは多々ある。実際にも新しいビジネスの発展に伴い、新たに法的規制が行われていくことはよくあることである。
つまり、今合法でもこれから違法になる可能性もあるわけだ。

もちろんスマートフォン自体、LINE自体が悪いわけでは決してないのだが・・・

しかし、携帯電話、いわゆるガラケーの時代は、まだできることが限られていたのだが、スマートフォンとなるとこれはポケットに入れて持ち運べるパソコンだ。パソコンでできることは、ほぼ出来るといっていい。こんなものを肌身離さず持っていて、しかもインターネットを通じていろいろな誘因が次から次へと現れるということを考えれば、ネット依存にならないほうが不思議とさえ言える。
つまり、LINEなりfacebookなりは、それ自体はひとつのプラットフォームであり、いかようにも使えるサービスであるが、そうであるが故に、これを利用していろいろなことを目論む人たちが必ず現れる。大人であれば、これらを見ぬくこともできるが、相対的に中高生であれば、これらに無防備だと考えられる。ただし、大人でも騙される人はいくらでもいるし、ネット依存になる人もいる、中高生でも適切な対応のできる人は少数ながらいるであろう。
要は、情報リテラシーの問題である。
高校生の中には、情報リテラシーが高く立派なブログを運営している人もいる。そこでは周辺の多くの高校生の現状嘆いていた。機種を聞く際、「あなたはiPhone?それとも『スマフォ』?」と言うというのである。こうした認識の人達は、間違いなく情報リテラシーが低いといえる。大人でもこんな勘違いをしている人は結構いると思う。

情報リテラシーが低いと色んなものの餌食になる

同じブログで、携帯電話ショップの描写がある。

やはりあの雰囲気に慣れることはできない。たいした知識もなさそうな便りない店員が客を逐一監視するような空間の居心地は最悪だ。(中略)また、ああいうところは知識がない人が訪れるのは本当に危険だと思う。同級生を例に上げると、デザインだけしか気に入らなかったレグザフォンを「今回は大丈夫だから」と勧められて購入してしまったという。結局、ローンのほとんどを残してiPhoneに乗り換えたというから悲惨である。
また、ショップ内で売られている周辺機器類もなぜ買おうと思うのか疑問を感じるものばかりだ。同じものを買うならアマゾンで買ったほうが安いし、品質やデザインで選ぶとしてもやはり通販での購入が最善だ。スマフォデビューしたてのユーザーの「とりあえず」を狙ったいかにもショップらしいやり方だと思う。

HTC 8X Ballistic Shell Gel (SG) Series Case レビューより

つまり、使い方のルールを決めるとか、使う時間を決めるとか、そんなことではなく、もっと根本的なところから教育しないとダメだ。現在のネットやスマホを取り巻く環境自体がすぐには変わらない以上、自己防衛するしかないのだ。悪徳商法というと、一部の極悪な反社会的な人たちをイメージするが、見方によっては、現在の携帯電話ビジネスは青少年(だけじゃないが)を餌食にする巨大な悪徳商法と言えなくもない。未成年であれば、契約に親権者の同意が必要なので、親の情報リテラシーも問われている。
LINEは、無料通話アプリだと言われているが、これはパケット定額制への加入を前提とした話である。主要携帯キャリアのパケット定額制の定価は5000円以上である。これに基本使用料などを合わせると安くても月額7,8千円の負担となる。中学高校生が通信関連費にここまでの額をかける必要が本当にあるのか。
親の情報リテラシーが低い家庭の子も情報リテラシーが低いという関係はおそらくあるだろう。親世代の情報リテラシー向上も含めた対策が必要である。